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サラリーマンを経て、家業の料亭を継いで奮闘中の毎日です。以前はあまり興味の無かった茶道もいつの間にやらハマってしまって、最近はお茶を点てている時がいちばん落ち着くようになりました。そんな経験を活かし、お茶に興味がある方や全く経験が無い方にも茶道の楽しさを伝えられたらいいなあと思い、その方法を模索中です。

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2010年7月 7日 (水)

にじり口からお茶室に入ってみませんか

しばらくぶりの更新です

以前、とある方より

「日本人はディズニーランドに行った事がある人より
 にじり口をくぐったことがある人の方が少ないんだよね・・・」

と言われ、なるほど!確かにそうかもしれない
では、何とか一人でも多くの方に体験してもらう方法はないだろうか?
考え続けているうちに時間ばかりが過ぎてしまいました。

このままではいけない

そこで、今年の8月に思い切って体験企画を行います。

あまり多くの方に来られてしまうと対応が出来ないので
今回は月コース(11,000円)以上のご予約をいただいた方で
ご希望のある方限定で行います。

具体的な内容としては
通常のお食事の後、お部屋から露地草履なるものをはいていただき
露地(庭)を通りお茶室へご案内。
途中、つくばい(手と口を清める)がございますがこちらはパスして
いよいよ、にじり口へにじっていただきます。

茶室に入りますとマネージャーの私が待っておりますので
わかりやすくご案内いたします。

そして、ご一緒の方が入りましたら
早速、私のお点前でお菓子をお抹茶をお出しいたします。

お菓子の食べ方やお茶の飲み方など、わからないことや
前々から疑問に思っていたことなど何でもお気軽にお聞き下さい。

時間的には人数にもよりますが30分前後とお考え下さい。

この機会に是非、体験いただけるとうれしい限りです。
皆様お誘い合せの上、茶人気分で夏のひと時を過ごしてみてください。

2009年9月 9日 (水)

どんなお客様に最適なの?


果たして美ささ苑はどんなお客様に最適なのか?

マネージャーの視線で申しますと

まず、お料理だけに興味がある方には残念ながら向かないかもしれません。
なぜならば、こちらは庭園から茶室、お座敷にいたるまで非常に手がかかっていて
この雰囲気もお値段の中に入っております。

個人的にも美味しい料理を食べるだけならばもっと安くてよい店があると思います。

ただし、こちらの庭園や露地、茶室、すべてが違ったしつらえで造られた
数奇屋建築のお座敷などの雰囲気は東京の中でも指折りだと思います。

もちろん料理に対しても出来合いのものはほとんど使わず一つ一つキチンと
造りこんでお客様に提供しております。
召し上がっていただければきっとわかっていただけると確信しております。
(私はお値段的にはむしろ安いと思っています)

例えば、顔合わせ、結納、お宮参り、お喰い初め、七五三、誕生祝、結婚祝、
長寿の祝い(還暦・古稀・喜寿・米寿・卒寿・・・)、法事などの家族の集まり。
同窓会、歓送迎会、忘新年会、ご接待などの仲間や会社の集まり。

そんなときには落ち着いた雰囲気の中ゆっくりと食事を楽しんでみましょう。
きっと普段とは違った感想が得られると思います。

私たちが大事にしているのは
せっかくお越しいただいたのだから、料理だけでなく、季節の色づく庭園や
お座敷での季節のしつらえ等をご覧いただき、五感で召し上がっていただくことだと思っています。

さらに、食事に一人一万円も出すのだからしっかりと満足していただけるようにと常々考えております。

しかし、大事な会食の席をいきなり一万円の席で試してみるのは危険だと
思われる方のためにも、まずは風流昼膳にて店の雰囲気や料理の味付けを試していただき、
次のステップで安心して大事な席を行っていただきたいと思っております。

また非常に申し上げにくいのですが、大人数でのご利用はあまりお勧めできません。
なぜならば、当苑ではどうしても出来立ての料理を出せる限界というものがあります。
サービスも含めて納得いくおもてなしができる自信がもてないからです。

したがって、一部屋の場合多くても26名様ぐらいまでならば安心して料理もおもてなしも出来ます。
もちろんそれ以上でもお受けいたしますし、精一杯努力して満足していただけるようにがんばりますが
100%のサービスと料理を提供することは大変難ということだけはご理解いただきたいと思います。
(本心としては受けたくない・・・)
 ↑これはお客様にとってもお店にとっても幸せなことではないと思うからです
(まあ、これはここだけの話ですけどね・・・)もちろん精一杯やりますよ!

このような内容を見て、こんな店行くか!と思われた方にはきっとむかないのかな?と思います。
また、どれどれどんなものか見てみるか!と思われた方にはきっと満足していただけると信じています。

いずれのお客様もマネージャーは心よりお待ちしております。m(__)m

2009年8月30日 (日)

お宮参り・お食い初め について


今回は美ささ苑のご利用目的で多い「お宮参り・お食い初め」について
お話したいと思います。

よく耳にすることに「料亭はお子様お断りではないか?」とか
「赤ちゃんが泣いたら大変だから行きたいけど行けない」など
いろいろ言われておりますが、実際のところ全く問題はございません。

むしろ、せっかくのお祝いの席だからこそ他のお客様に気兼ねすることなく
個室のお座敷でゆっくりとご家族がそろって過ごすことが一番だと思います。

こちらの周辺には「子安神社」や、「八幡八雲神社」がございまして
歩いても10分そこそこではないでしょうか。
また、5名様以上の徒歩の方がいればお迎えにも伺います。


お宮参りとは、
生まれて初めて氏神様にお参りするのが「初宮参り」で、
赤ちゃんの氏子入りを神様に認めてもらうという意味合いが強く、
地方によっては神様の前でわざと赤ちゃんを泣かして神様の注意を引くという慣習もあります。
時期的には生後一ヶ月前後が基本ですが、現在では日取りにあまりこだわらず、
赤ちゃんの健康状態や天候の具合で決める場合が多いようです。
また、居住地の氏神様にお参りするのが本来ですから
わざわざ遠方の有名な神社に出かける必要はないでしょう。

お喰い初めとは、
赤ちゃんに初めてご飯を食べさせるお祝いです。
「この子が一生食べるものに不自由しないように」という願いをこめたもので、
生後百日か百二十日に行うものとされています。
赤ちゃんの披露という意味もあって、親戚や親しい人を招き、
一座の年長者が赤ちゃんを抱いて箸をとり、食べさせるマネをします。
しきたりによると祝い膳の食器はすべて新しい物をそろえる等の決まりごともあるようです。
現在では生活に合わせて、赤ちゃん用の食器は無駄にならないものをそろえ、
記念の一口はお父さんの手で食べさせるということも多いようです。
(参考文献:冠婚葬祭の常識百科 帯正子著)


さて、では実際によく聞かれることをお答えしたいと思います。

Q:お食い初め用のお膳は用意できますか
A:ご予算に応じてご用意いたします

Q:祝い膳の器を持ち込んでもいいですか
A:事前にご連絡いただければ大丈夫です
  ただ、当日お預かりしてから準備しますので若干お時間を頂戴いたします

Q:祝い膳に鯛は付きますか
A:基本的に鯛が付きますので、お喰い初め後みなさんで召し上がっていただくことが多いです。
  ご自宅にお持ち帰りになる場合は係りの者にお伝えください。

Q:祝い膳はいくらですか
A:基本は3,500円(税別)となります。
  あとはご予算に応じて、鯛の大きさや天然・養殖等の違いが出てきます

Q:掘りごたつ式の部屋はありますか
A:あいにく掘りごたつ式のお部屋はございません。
  美ささ苑ではすべての部屋が平らな畳のお座敷となっております。
  ただ、一部屋のみ畳の上に椅子を置いた椅子席個室がございます。
  こちらの部屋は床が畳になっていますので赤ちゃんを寝かせても安心です。
  (ご希望の方はご予約の際に、必ずお申し付けください)


いずれの儀式も人生の区切りとしては大事なものだと思います。
最近は核家族化がすすでおり、なかなか親族が会う機会がないので
こうしたときにこそ、みなさんでお食事をされてはいかがかでしょうか。

美ささ苑では皆さんの記念の一日となるように精一杯お迎えいたします。
何かご不明な点がございましたらいつでもお気軽にお問い合わせ下さい。
お待ちしております。

  

2009年8月15日 (土)

顔合せ・結納について

 
美ささ苑のご利用動機で多いものの一つに顔合せと結納がございます。
一言に顔合せ・結納といっても様式は様々で、今は多種多様です。
今回は、今までいろいろなタイプのお客様に対応をしてきたことから
参考になると思われることをいくつか書いてみたいと思います。

ちなみにあくまでも個人的な感想ですので、ご参考までに!

まず顔合せですが、こちらは読んで字のごとくご両家の顔合せとなります。
すでに顔なじみで和気藹々とすることも良いですが、
当然、初めてお会いする方もいらっしゃいます。

そこで大事なのは、エチケットとしてあまりラフな格好はせず
当人同士で連絡を取り合い服装などでアンバランスにならないようにすると良いと思います。
また、お酒がお好きな方は少し控えめぐらいの方が良いかもしれません。

次に結納ですが、こちらは非常に多種多様です。

美ささ苑では、結納の場合はサービス料を15%(通常は10%)頂戴しております。
そのわけは、まずはお祝いということで、桜湯をお出ししております。
つぎに結納の形式にもよりますが、畳に座布団だけの状態で結納の儀式を
行っていただき、その後、一度席を立ち庭園を散歩していただき
その間に、お座敷に机を入れお食事が出来る準備を整えます。
さらに器は結納用の華やかなおめでたいものを使用いたします。

また結納でよくご質問をいただくことに

・結納の進行をお願いできますか
 →申し訳ございませんが、こちらでは進行を受けておりません

・結納はどうすればいいですか
 →いろんなパターンがありますので当人同士だけでなく
  ご両親を含めてよく相談された方がいいと思います。

 いわゆる結納品(五品目・七品目・九品目)を取り交わす正式なものから
 婚約指輪とお返しの品などを交換する簡易的なもの、
 あるいは顔合せの延長線でご両家で婚約の確認するものまで多様です。

よくあることですが、当人同士はその気持ちであってもご両親にキチンと
説明していない場合、場の雰囲気は大変厳しいものになります。
本来、非常におめでたい席になるはずのもですから、前もってご両親には
説明をしておくことが大事になります。

やはり結婚は、家同士のお付き合いだということを忘れてはなりません。

また、片方が正式な服装で、片方が軽装で、何ともバツが悪く困っている場合も
見受けられますので、同じことの繰り返しですが前もっての確認が大事です。

あとよくあることに、話のきっかけを作ろうとお酒を注ごうとして
「今日は車なので」、と断ることで話が止まってしまうこともあります。
このような席の場合はタクシーなどを利用し、お酒を飲める状態にした方がいいかもしれません。

これまた多いのが支払の問題です。
本人同士で確認してどちらが払うのか決めておかないと
片方の親が前もって払ってしまい、後からもう片方の親が払いたいといわれることも多く、
なかにはお金を置いて、「相手にもらった分は返しておいて下さい」と強引にされる方もいっらしゃいます。
こちらとしては前もって、「私が払いますので他からは受け取らないで下さい」
と言っていただいたほうが、スムーズに行くかと思います。

最後にこちらかのお願いですが、
ご予約の際には、ご両家のお名前をご連絡いただければ助かります。
いずれにせよ、一生に一度のおめでたい席ですので皆様が喜んでいただけるようがんばります。
何かわからないことや、ご相談がございましたらお気軽にお電話でどうぞ!


 

2009年8月 4日 (火)

料亭ってどんなところ?

 
料亭というと、どんなイメージがあるでしょうか。

よく耳にするのは
「政治家や企業のお偉いさんなどが密談する場所」
「一見さんお断りで紹介がないと入れない」
「着物の芸者さんが出入りしていて普通の人には敷居が高い」
「支払はびっくりするほど高額」など

では、実際はどうなのか

各お店によってそれぞれ違いがあるとは思いますが
美ささ苑では一般の方の利用が圧倒的に高く次のような用途が多いです

 ・お顔合せ、結納、披露宴
 ・お宮参り、七五三
 ・還暦、古稀、誕生日、結婚記念日等の家族のお祝い
 ・法事
 ・接待
 ・同窓会
 ・歓送迎会や忘新年会などの会食
 ・昼のちょっと贅沢なランチ

やはり最初のイメージほどではないけれど普通の会食というよりは
ハレの日、特別な日の会食といった用途が多いのかなと思います。

金額は決して安くはないですが、基本的に明朗会計ですので
いわゆるHPやパンフレットなどに出ている料理の金額に飲物代が加わり、
その他にサービス料として10%頂戴しております。
もちろんクレジットカードも使えます。

美ささ苑の特徴としては、
入口からのアプローチ、美しい庭園、部屋のしつらえ、心のこもったおもてなし、
季節の食材を、「走り・旬・名残り」と楽しんでいただけるように組まれた料理のフルコース、
人数やご希望に応じて、お客様が寛ぐことの出来る個室のお座敷をご用意出来ることです。

最近では少しでも多くの方に足を運んでもらいたいという思いから
「風流昼膳(3,000円)」というお楽しみ膳をはじめました。
こちらは料亭ならではの料理の素晴らしさをコンパクトにまとめ、
椅子席で気軽に召し上がっていただこうという趣向です。

お手軽といっても内容は吟味されておりますし、
味のベースは普通のコースと全く同じですので、
どの程度の料理を出すのか下見するには最適だと思います。

ただし、手間がかかっているサービス品のため数量限定としました。

皆さんのお越しをお待ちしております。

2009年7月23日 (木)

美ささ苑のはじまりについて その4

~ 前回よりつづいて

獨楽庵復元から一年ほど経ったとき
いっそのこと懐石料理も始めようという話が浮上。
それまでは茶会の点心などその都度仕出し屋からとっていました。

おもてなしが好きだった先代は早くから料亭を経営する夢もあり
お茶をベースにしながらもっと気軽に茶を楽しみ、お料理を楽しめる
そんな場所がほしいとの思いが強かったようです。

こうして隣接する旧工場跡地にいろいろと設計図を描き、客の流れや
サービスの動線を考え、藤井さんに建築を依頼したのです。
そこには貸茶席が必要だというので四畳半台目と十畳半の茶室もつくりました。

一般の料亭では「仲居」というところを、美ささ苑では「半東」と呼びならわし、
その心得にも茶の湯がベースになっていることを明記しました。
庭と座敷、軸と花、料理と器、挨拶、給仕、立ち居振る舞い、
それら全てが美的にコーディネートされていること、
そしてお客様との出会いは、一期一会であり、日々のおもてなしに
茶の心を反映させること、客のこころになってもてなすこと、これが基本方針でした。

美ささ苑の新築部分はこんな様子です。

獨楽庵と寄付三畳の間を流れ沿いに行くと、
そこには美しい天平瓦をデザインした石庭になっていて、
その片側にモダンな四角の蹲石と四畳半台目の席、
もう一方に橋杭の木組み象った蹲があり、
透かし彫りのある風流な濡れ縁があって、十畳半の広間につながっています。

藤井喜三郎氏の苦心の作で、
利休好みのにじり口のある小間と秀吉好みの開放的な広間との取り合わせです。

こうして獨楽庵復元から遅れること2年半、
昭和59年10月、ようやく懐石料亭「美ささ苑」が誕生いたしました。

このような思いを込めてはじめた料亭です。
その後、世の中は時代と共にいろいろと変ってきましたが、
美ささ苑では当初の考えのままお客様をお迎えしております。
もし、興味があればお越しの際に気軽にお尋ね下さい。
喜んでご説明、ご案内させていただきます。

次回からは、料亭、お茶の楽しみ方などをお伝えしていく予定です。
 

2009年7月15日 (水)

美ささ苑のはじまりについて その3

 
~ 前回よりつづいて

仰木魯堂ゆずりの近代数寄屋のセンスで建築は進みました。
お茶会のための、お道具がひきたつ空間、建築が出過ぎたり
表現したりしてはいけない、そうした考えが基底にありました。
本当にお茶が好きな人でなくてはできない茶室・露地です。

事実、この茶室には他にはないものがあります。
まずは究極の席といわれる「一客一亭」の二畳席、
それに続いた太柱が特徴の逆勝手の席、腰障子の貴人席で、
これはご自分が亭主として楽しむ席ともいえます。
にじりのある三畳台目はオーソドックスで客が楽しめる席。
それにここの水屋は広くて、しかも絞り丸太のいい床の間があるのです。

この三つの茶室を一棟に収め共通の水屋をつけた構成は珍しく貴重です。
どうしても茶人を悦ばせるものをつくらなくてはいけない、
その気持ちが庭を囲う東南の二方に隠し塀を造らせました。
自然の風景、天平文化、桃山の文化、光琳の気分が伝わっているような、
それらを凝縮したような空間、藤井さんの設計意図はそんなところにあったようです。

庭については、まず石組み、それは骨格のようなもの、築山から
水の流れるがある、その流れをわたらないと茶室に入れないようになっている。
そこで身を清める、そして枝折り戸があって蹲と燈籠がる。
二百坪のところに小宇宙をつくる、市中の山居をつくる、そんな意気込みでした。


いよいよ準備が整っていきここで、一つの大きな課題が出てきました。
この茶苑の名前であり、看板です。
名前は「美ささ織」からとって「美ささ苑」にすることで合意していましたが
問題はその看板を誰に揮毫してもらうかということです。

まず、頭に浮かんだのは禅の高僧です。お茶といえば京都の大徳寺、南禅寺
そして、鎌倉の円覚寺など、しかし、いくつかの候補の一行書を見ても
禅的にすぎるのか風味の点でいまひとつぴったりとくるものがありません。
書家の書も調べてみましたが、なにか衒いがあって魂に響くものがないように感じ、
画家の書にいい感じのものがありましたが、禅的な精神性が弱いような感じがしていました。

そんな時、たまたま本屋の書棚で、これだ!という書を見つけました。
それは豪華本『東大寺』の背表紙に書いてある「東大寺」の文字で、
雄勁で美しくしかも魂に響くものがありました。
それは東大寺の貫主、清水公照老師の書でその世界では有名な方でした。

そこで知人を介し老師に打診してもらいました。
すると「獨楽庵」の由来を聞いて快く聞き入れくださり、
「美ささ苑」と「獨楽庵」の二つの書を揮毫してくださることになったのです。

そしてようやく、昭和57年3月に無事完成したのです。

つづく


 

2009年7月 8日 (水)

美ささ苑のはじまりについて その2

 
~ 前回よりつづいて

ところが復元の依頼をした頃から
本業の織物業の環境が急速に悪化してしまい、
婦人服の洋風化にしたがって着物が売れなくなり、
財力に余裕がなくなってしまったのです。

茶室を復元するどころではなくなり藤井さんはおかんむりでした。
藤井さんが、しばらくして奥さん(先代)に会ってみると

先代:「個人の力ででも復元しようと思うのだけど、
    どのくらいかかるだろうか」
藤井:「それでどこに建てるんですか?」

聞いてびっくり、当初は千坪もある丘の上の景色のいいところに
と聞いていたのが、一変して自宅に隣接する工場の跡にということでした。
そこは周囲を建物に囲まれた二百坪くらいの敷地です。
不昧公の大崎茶苑のイメージがあった藤井さんは

「なんて情けないことになったのか」と落胆したのです。

「私なりに夢をいだいていましたから・・・。
 でも贅沢はいってはいられません。ここに建てなければ獨楽庵は
 このまま永久に消え失せてしまうかもしれない。私も七十歳を
 越えていて、奥さんもこれが最後のチャンスだとおっしゃる。
 予算も限られているけど、何とか復元してほしいとのことでした。
 私はその志に感激して、ソロバン抜きでお引受することにしました」

ここから藤井さんの精魂を傾けた復元作業が始まります。

「この復元作業は同時に作庭と広間や腰掛けの建築も含まれていました。
 石組みをして流れをつくり、中門と枝折り戸をつくり、
 茶室には蹲・灯籠を据えました。フラットな土地に高弟をつけるため
 トラック数十台に及ぶ石と土を運び込みました」

茶室の復元に一年、庭や広間や待合をつくりのに一年かかりました。
その間、あっちに立ち、こっちに立ち、座ったり立ったり、
どの目線でもよいように石の一つ、植栽の一つ一つをチェックしました。
それは大きなキャンバスに精密な絵画を描くような根気のいる
精緻な仕事でした。先代はつきっきりでお茶を入れ食事を用意し、
一休みの時には、夏にはおしほりを、冬にはこたつをと、
いたれりつくせりの世話をやきました。
藤井さんはそれに感動して全身全霊を傾けました。

こうして二人の文字通り懸命の思いがこの獨楽庵を甦らせ、
露地と関連施設を完成させたのです。

藤井さんは後日こう語っています。

「私のような者でも、一生の内には何か後世に残るような仕事をしたいと
 思っていました。その機会を与えてくださったのが奥さん(先代)です。
 ですから、私は一生懸命、全身全霊を込めてこの仕事をしたのです。
 この庭と建築が人々に感動を与え、人々に癒しの空間を提供することが
 できれば本望です」

つづく


 

2009年7月 4日 (土)

美ささ苑のはじまりについて  その1

 
今から三十数年前、お付き合いのあった古美術商から
「獨楽庵」の話が舞い込んできました。

その茶室は利休さんゆかりの茶室で芝白金にあり、
もう朽ちかけているとのことです。
持ち主がその土地を道路の拡張のため誰か茶室の
引き取り手はいないかということでした。

当時、織物で財を築いていた先代は美術品に大変興味があったため
直感的に心惹かれとにかく見てみましょうということになったのです。

それから古美術商の山田三郎さんと数寄屋建築家の藤井喜三郎さんの
案内で茶室を見に行くことになりました。

~ その時の様子を後年、藤井さんはこう語っています ~

「山田三郎さんからの話で、こわれかけた茶室があるのだが、
由緒があるのでどんなものか鑑定してほしいということでした。
行ってみると、壁もだめ、畳もボロボロ、あちこち雨漏りがしている、
ちょっと見るととてもいけません。でも、中にはいって仔細に見てみると、
実に良くできている。不昧公が大事にしていた茶室の雰囲気がある、
写したもの、復元したもので、二代目に違いはないが、よくできています」

初対面だった先代と藤井さんとの間に、こんな会話があったそうです。

先代:「この茶室使いものになるのでしょうか」
藤井:「ええ、これは日本にたった一つしかない茶室です。
    不昧公が大事にした利休さんゆかりの茶室だけに、良くできています。
    復元すればいい茶室になるでしょう・・・」
先代:「そうですか、では、あなたがちゃんと復元してくれますか」
藤井:「ええ、復元される場合はお引受けします」
先代:「じゃあ、いただきます」

 ~ 藤井さんはその度胸と決断のよさにびっくりしたといい、こう語っています ~

「奥さん(先代)は即、無心でお買いになった。私の言葉を信用して、
そうとうの大金でしたが、ポンとはたいてです。私は感激しましたね。
そして大いなる責任を感じました」

つづく
 

2009年7月 2日 (木)

ブログはじめました!

 
今日からブログをはじめました。

どれだけ出来るかわかりませんが、
いろいろなことを少しづつ書いていきたいと思ってます。


まずは「美ささ苑」の店名について

八王子は織物の町で、私共も美ささ織という機屋でございました。
その後、機屋は止めてしまい、料亭をはじめるにあたり屋号の
「美ささ」をとり「美ささ苑」となったのでございます。

今でも機屋の名残として、店の前に手織工房を併設しており
手織教室を行っています。ご希望があれば見学も出来ますので
お店にお越しの際はお声掛け下さい。
 

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